そのうち、その見えない月は38万kmの彼方にあるのだという気持ちがムクムクと頭を擡げてきて、じっとそれが存在しているはずの位置に目を凝らしているのでした。私の両眼と月との間にある距離に比べて、あの太陽を「食べている」月は何と小さいのだろう。直径わずか3500 km。底面直径の100倍以上の高さを持つ、実に細長い円錐の影が、あの位置からこちらに向かって、今の瞬間に伸びてきている。しかもその影をつくりだしているもとの光は、1億5000万kmも向こうにある。この円錐現象の巨大なスケールを頭で描きながら、その細く長大な宇宙の円錐の先端に自分がいる――私は茫然とした気分で立ち尽くしていました